ボスの技の安全な所を、遠くでも足もとでもない所に置くまで
Root Garden は、根を育てて戦うサバイバーライクです。ボスが出ても難しくならないので技を作り直すと、安全な所を遠くに置けばボス戦が長引き、足もとに置けば張り付くだけで済みました。安全な所をボスを削れる範囲の内側に置き、張り付くと当たる技を5体に足して公開版に入れるまでの記録です。
「Root Garden」は、歩いた所に根が広がり、育てた根が敵の群れを遅らせ、焼き、浄化するサバイバーライクのゲームです。攻撃は自動で、8つのステージのそれぞれの最後にボスが出ます。2026年10月16日から、itch.io で期間限定の公開プレイテスト(別タブで開きます)を無料で出しています。
公開の前日の時点で、ボスが出ても難しくなった気がせず、ボス自身にこちらを攻める力がほとんど無いと感じました。そこでボスの技を作り直しました(作るのは開発を担当する AI で、私は遊んで気づいたことを伝えています)。技の「ここにいれば当たらない」安全な所を遠くに置くとボス戦が長引き、ボスの足もとに置くと、張り付いていれば済む技になりました。10月25日の公開版(0.9.0-pt5)では、安全な所をボスを削れる範囲の内側に置き、張り付くと当たる技を5体のボスに足しています。
ボスが出ると、楽になっていた
自動プレイ(自動で遊ぶ操作プログラム)の記録でも、ボスが出ると、出てくる雑魚がボスのお供用に替わって大きく減り、ボス戦で倒れる率はボスの前の1.5倍ほどにとどまっていました。10月16日、ボス戦の間もボスの前の群れを半分の速さで流し続ける変更を入れて公開しました。
それでも、ボス自身の技はプレイヤーを動かしていませんでした。ステージ6の水道橋の番人では、1回のボス戦で技から受けるダメージは8〜24だけで、番人の体力の8〜9割は、根が起こす浄化の破裂で削れていました。
安全な所を、ボスを削れる所に重ねる
10月17日、ステージ6から作り直しを始めました。番人は、近く(半径260px)にいる時だけ巣の弱点が開き、大きく削れるボスです。水門が開くと波が押し寄せる技を、安全な所の置き方を変えて4回作り、2案目からは自動プレイで25本ずつ比べました。長さは、ボスまで届いた回で数えています。
| 案 | 安全な所 | ボス戦の長さ(中央値) | 4分以上の戦い |
|---|---|---|---|
| 元 | (技がほぼ当たらない) | 125秒 | 3本 |
| 1案目: 番人から離れる向きの大波 | 根や柱の陰 | 試した1本が480秒で時間切れ | — |
| 2案目: 番人へ向かう引き波 | 根や柱の陰 | 189秒 | 5本 |
| 3案目: 陰を外し、手前の岸を凪に | 番人の水路の手前の岸 | 250秒 | 5本 |
| 4案目: 番人へ縮む輪の波 | 番人の懐(半径260px) | 69秒 | 0本 |
1案目は陰が番人から遠い側にでき、しのぐたびに番人から引き離されました。2案目は隠れるたびに攻めが止まり、長いうえに安全でした。3案目は、波の届かない向こう岸が逃げ場になり、凪にした岸では巣の弱点が開きませんでした。どれも、安全な所がボスを削れる所から離れていました。
4案目は、安全な所を懐そのものにし、輪の波をいつもプレイヤーの外側から立てて、遠くの逃げ場をなくしました。ボスを削る速さは2.6倍になりました。
開発の AI はここから「技の答えを、ボスを削れる所に重ねる」を決まりにして、ほかのボスにも使いました。
| ボス | 技 | 答え |
|---|---|---|
| ステージ7 棘明かりの女王 | 棘の芽吹き | 降りた女王の足もとへ踏み込む |
| ステージ3 温室の花冠 | 胞子の灯台 | 盾が割れたら花冠の足もとへ詰める |
| ステージ4 菌糸の女王 | 胞子の満開 | 溜め終わる前に女王を叩いて止める |
| ステージ8 記録庫の根心 | 根の吸い上げ | 弱点の窓まで根をつないで叩いて止める |
10月23日にステージ6・7・3・4 の新しい技を遊ぶと、ボスらしさはだいぶ上がっていました。予告を見ても避け方が分からない技が少しあったので、予告のたびに答えを短い言葉で出すようにしました。
張り付いていれば済む、をやめる
同じ日の夜に遊んで、気になったことを送りました。
追加された新攻撃が基本相手に近づく事で回避になっているのは気になる。空いているところを探すみたいなものもあってもいいのでは?
近づけば回避はあってもいいけど、それと合わせてとか、近くにいる事が危なくなる攻撃をもっていないと、単純に張り付けばいいとなってしまうので
見直すと、5つの技の答えはどれも「ボスの近くへ」で、近くにいることが危ないのは体当たりくらいでした。ずっと張り付いていれば、最初から全部の答えに立っていることになります。
そこで、近くが危ない技と、空いた所を探す技を、5体に1つずつ足しました。答えの置き方は開発の AI が決めました。どの答えもボスを削れる範囲の内側にあり、盾が割れている間のような、ボスを削れる時間には出しません。
| ステージ | 足した技 | 答え |
|---|---|---|
| 7 | 蜂の巣の目 | 蜂の降らない空いた目へ入る |
| 4 | 菌糸の市松 | 立つ色が先に噴くので隣の目へ渡り、2段目で戻る |
| 6 | 水門の逆流 | 足もとの輪(半径180px)から少し下がる |
| 3 | 花びらの渦 | 少し離れ、花びらの腕のすき間について回る |
| 8 | 砕ける硝子 | 硝子の君主から離れ、破片の筋の間へ入る |
水門の逆流は、最初の輪(半径290px)が懐より広く、輪の外へ出ると巣の弱点が閉じてしまったので、180pxに縮めて、180〜260pxの帯で削り続けられるようにしました。
ステージ3の灯台も、足もとだけが安全な一周の形でした。「足元が安全地帯?」「内側だけだと回してる意味がないので」と送り、予告した角度の外へよける形を頼みました。扇(160度)を一度だけ薙ぎ、矢印の向きに回り込んで外へ出る形です。盾が割れている時間を、扇を避け終わってから数えるように延ばしても、その間に上級の自動プレイが削る速さは半分になり、中級は変わりませんでした。前の足もとの安全な所は、上級の自動プレイには、いちばん削れる所でもありました。灯台を扇に変えたので、花冠の体力は1.1倍から1.0倍に戻しています。
公開版に入れたもの
10月16日の公開時の版(0.9.0-pt3.1)は、ボス戦の雑魚の変更と、ステージ2のボスの狙いの直しまででした。10月23日の0.9.0-pt4でステージ6・7・3・4の最初の作り直しが入り、10月25日の0.9.0-pt5で、根の吸い上げ、張り付き対策の5つ、扇の灯台が入りました。新しい技のうち範囲のあるものは、予告を破線、本物を硝子や水などの模様にして見分けやすくしています。答えを短い言葉で出す表示は、形から答えが読めない4つの技(「番人の懐へ!」など)だけに残しました。10月27日の0.9.0-pt6では、灯台の扇を120度に狭めて薙ぐ速さを落とし、ステージ1・2・5のボスにも固有の技を足しました。
ボス戦の長さには、後のステージほど長くなる面ごとの目安があり、技で短くなったステージ4と6は、ボスの体力を1.6倍と1.5倍にしました。ステージ6のボス戦は、自動プレイで中央値が約100秒でした。4分以上かかったのはボスまで届いた28回のうち5回で、どれも雑魚から逃げ続けて番人に寄れなくなった回でした。
自動プレイは答えの場所を知っているので、破線の予告から答えが読めるかは、人が遊ばないと分かりません。itch.io の更新のお知らせ(devlog)では、予告と本物の見分けがついたか、理不尽に感じる技や長すぎたボス戦はなかったかを、遊んだ人にも尋ねています。