2〜3月に続けて作った小さなAIアプリの記録を読み直す
2026年2〜3月に続けて作った診断・変換・対戦の小さなアプリを、コミットと企画の文書から読み直しました。作った記録は多いのに使われた記録が無いこと、共通の土台と記録のばらつき、AI を外した道具、今の公開の判断をまとめます。
2026年2月から3月にかけて、AI で診断や文章の変換をする Web アプリと、AI が審判をする対戦ゲームを続けて作りました。10月にこのサイトを作り直すにあたり、AI の作業者が各作品のコミット、企画の文書、コードを読み直し、本番で1回ずつ動かしました。分かったのは、作るあいだの記録はたくさん残っているのに、公開したあとに使われたかどうかの記録が、リポジトリにも企画の文書にも無いことです。共通の土台のおかげで次々に作れた一方、記録の残し方は作品ごとにばらばらでした。AI がなくても成り立つ道具では、AI を外していました。この読み直しと動作の確認をもとに、過去の制作の一覧では15作品を「公開中」「休止中」「記録のみ」に分けています。
作ったもの
このサイトの一覧に載せている、AI を使う小さなアプリは次の8本です。記録の期間は、コミットの日付(git の無い作品はファイルの日付)で見て、短いもので6日、長いものでも2週間あまりです。
| 作品 | 何をするか | 記録の期間 |
|---|---|---|
| AuraCard | X のプロフィール文や投稿から TCG 風のカードを作る | 2月26日〜3月4日 |
| Vibe Check | LINE や DM のやりとりから相手の本音を推し量る | 2月下旬〜3月5日 |
| Gift Vibe | 相手とのやりとりから、ほしがっていそうな物を3つ挙げる | 2月下旬〜3月5日 |
| Meme Translator | 硬い日本語をネットのミーム調に書き換える | 2月25日〜3月4日 |
| DreamDecode | 夢の文章から夢占いをする | 2月下旬〜3月上旬(ファイルの日付) |
| LifeRewind | 過去の分かれ道から、もう一つの人生を物語にする | 3月6日〜11日 |
| Butterfly Effect | 小さな習慣が20年後にどう転ぶかを物語にする | 3月6日〜11日(LifeRewind と同じコード) |
| 5秒バトル | お題に5秒で答える対戦。AI が審判をする | 2月25日〜3月9日(10月2日に保守) |
同じ時期から少しあとにかけては、公開版で AI を使っていない作品も作っています。スマホを触ったら負けの対戦ゲーム「シカト選手権」(2月)、激辛料理の記録「SpicyLog」(3月)、サブスクの解約を整理する「SubTrim」(3月)、引っ越しの手続きを並べる「引っ越し手続きチェック」(4月)です。
作るあいだの記録は多い
コミットの件名を並べると、どこに手数を使ったかが見えます。Meme Translator の8件のうち、最初の版をまとめて入れた1件を除く7件の件名は、どれも OGP、ファビコン、広告のタグ、X 用のメタタグ、シェア機能のどれかに関するものです。LifeRewind と Butterfly Effect のリポジトリには、3月6日から11日の6日間に43件のコミットがあります。3月8日の20件はほとんどがシェア画像と結果のタイムラインの見た目の調整で、3月9日と10日には広告(忍者AdMax)の枠に関するコミットが8件続きます。
AuraCard の指示書には、目標として「High virality on X」と書いてあります。記録の上では、手数の多くが、X で共有されるための見た目と、広告の枠に使われていました。
使われた記録は無い
一方、公開したあとにどれだけ使われたか、共有されたかの記録は、どのリポジトリにも企画の文書にも見当たりません。企画の段階で目標の数字を書いた作品はあります。シカト選手権は「リリース1ヶ月で1万回対戦」、5秒バトルは「リリース1ヶ月で5000回対戦、シカト選手権からの流入率30%」です。この目標と比べた結果は、どこにも書かれていません。その後の案出しの回(Round6)の評価は、シカト選手権・5秒バトル・SpicyLog を含む4本を「4本リリース済」と数え、そのまま次に作る案の選定に進んでいます。
止めた理由の記録もありません。手を止めた作品のどれにも、なぜ止めたかを書いた文書やコミットは見つかりませんでした。なお、今回の調べでは、解析や広告の管理画面は見ていません。ここで記録が無いというのは、リポジトリと企画の文書の中に無いという意味です。
共通の土台で速く作れた
速く作れた仕組みは、記録から読み取れます。Vibe Check のために書いたサーバー処理(Firebase の Cloud Functions)は、2月26日に作品ごとのファイルに分けられ、AI を使うほかのアプリもここに足していく形になりました。表の8本のうち、自前の処理を持つ5秒バトルを除く7本の AI の処理は、今もこの1か所にあります。DreamDecode のサーバー処理は、そこに足した65行のファイル1つです。
Gift Vibe の README は、Vibe Check のコードとノウハウをそのまま流用できることを、最速で作れる理由に挙げています。LifeRewind と Butterfly Effect は、1つのコードから設定を切り替えて2つのアプリを出す計画で、2本目への展開は「数日」と見積もっていました。5秒バトルは、ルームの作成と URL の共有、リアルタイムの通信、待機室から結果までの流れを、シカト選手権から転用しています。
記録の残し方はばらばらだった
同じ土台を使っていても、記録の残し方は作品ごとに違いました。
- DreamDecode、SpicyLog、引っ越し手続きチェックは git で管理しておらず、作った時期はファイルの日付からしか分かりません
- LifeRewind と Butterfly Effect のサーバー処理は、共用のリポジトリで一度もコミットされていません
- 共用のサーバー処理には10月にも手を入れていますが、その変更もまだコミットされていません
- Meme Translator には2つのモデルを比べたスクリプトと出力が残っていますが、出力のファイルは文字化けしていて読めません
反対に、LifeRewind には AI の思考量の設定を比べた結果が JSON で残っていて、成功した回数と応答時間を今でも数え直せます。SubTrim には、AI の機能を公開版から外した判断の文書があります。5秒バトルのコミットには、モデルを元に戻した理由が「liteは過剰解釈が多すぎた」と一言だけ書いてあります。
AI がなくても成り立つ道具では AI を外した
SubTrim では、明細や通知の文章を貼ると AI が登録フォームの候補を作る機能を作ったうえで、2026年3月27日に公開版の既定の画面から外しました。判断の文書には、理由として「初回UIが重くなる」「外部送信の説明が増える」「価値に対して、公開時の複雑さが大きい」などが並び、「AI がなくても、この流れは成立します。」とあります。入力の補助が無いと面倒だという反応が複数あったときなど、戻すことを考える条件も決めています。
引っ越し手続きチェックは、最初から AI を使わず、条件と手続きの対応をデータで決めたルールで組み立てています。企画の文書のリスクの欄には「一般論しか返らない と chat に負ける」とあります。
今のサイトでの扱い
2026年10月5日と6日に、AI の作業者が15作品を本番で開き、試せる範囲で主な機能を1回ずつ試しました。AI で診断や変換をする7本は、どれも結果が返りました。動くかどうかでは、分けられなかったことになります。
作業者は作品ごとに、続ける・休止する・終えるの案を理由つきで作り、10月6日に私が案のとおりに決めました。このサイトでの表示は次のとおりです。
| 表示 | 作品 | 判定案の理由(要約) |
|---|---|---|
| 公開中 | AuraCard、5秒バトル、SubTrim、引っ越し手続きチェック | 文章から画像の生成、カードの合成まで2段の生成が完走し、診断系で唯一作り込みが深い(AuraCard)。声で答えて AI が判定する対戦に独自性がある(5秒バトル)。解約手順と公式ページへの案内という独自のデータがある(SubTrim)。条件別の手順と公式の確認先がすぐ出る(引っ越し手続きチェック) |
| 休止中 | SpicyLog、シカト選手権、TalkFlow、Chronicle AI | 修理が要る、または価値はあるが今は手が回らない |
| 記録のみ | Vibe Check、Gift Vibe、Meme Translator、DreamDecode、LifeRewind、Butterfly Effect、AIBloom | 動くが一発ネタ、1回のプロンプトで返す診断で独自性が薄い、など |
「記録のみ」の作品も、アプリそのものを止めたわけではありません。そのため「終了」ではなく「記録のみ」と書き、このサイトからは利用先へのリンクを出していません。
公開中に残った4本のうち、SubTrim と引っ越し手続きチェックは AI を使っていない道具です。AI で診断や変換を返す7本のうち、公開中に残したのは AuraCard だけでした。それぞれの制作の記録は、一覧の SubTrim の項目、引っ越し手続きチェックの項目、AuraCard の項目にあります。
使われ方を測る仕組みは、今の主力の英会話アプリ「イエタ」では公開の前から動かしています。新しい利用者、AI を使った人、会話の回数、7日後も使っている割合を、サーバーの記録だけから週ごとに数える集計で、2026年10月5日に本番で初めて実行しました。この集計には、英会話アプリ「イエタ」の AI 1回あたりの原価を実測した制作ノートでも触れています。